ようやく天守閣の一番上まで登ってきました。
この仕口とクサビがたまりませんな。
目の細かさ、目の詰み具合を見てね。
宮大工の皆様大好き 地松の鉄砲曲がり。
国宝指定書の上の地松丸太はいわゆる普通曲がり。
この程度のむくり材ならたくさんあります。
こんな大曲りの地松丸太 なかなかないですから。
しかし、よく見てみるとこの材もヒワレの入り方に違和感が。
表裏もじっくり見てみよう。
この松っちゃんも大曲りを演出するために下腹をかなり削ったと予測できます。
今や全国2社しかない地松専門 天然乾燥専門店主の戯言です(笑)
と思ってたら最近知った静岡県Mさんも地松専門っぽい??全国3社になるかも。
ある大工さんのブログで拝見しましたがカマで地松の皮剥きをされてる凄い方です。
合言葉はADR(エアー ドライ ラフ)ですね(笑)
コチラはメイン通りではない、いわゆる裏から見た写真です。
巧くキズが隠れるように宮大工様が裏面に使ってくださっています。
丸太のヘコミはいわゆる一つの僕らはキズと呼んでいます。
成長過程の段階で何かしらのキッカケ(雷や鳥や虫などの影響)で松丸太にキズが入ったものだと思われます。
これくらいの小さなキズでしたら、タイコに製材したら、関係なくなるケースが多いので、キズが入った面がタイコに挽く部分かどうかを見極めて、地松丸太を購入します。
これはヤニツボっぽいキズに見えます。
こういった箇所に松ヤニが固まっているケースや入皮が深く入っているケースが多いです。
松の場合は実はキズよりも節腐りや節腐りからの芯腐りのほうが怖いです。
松丸太は桧丸太のように外側、芯から離して化粧材を木取りすることはほとんどなく、
太鼓梁など芯持ちで松の曲がり、強度を利用して、適材適所で使うケースがほとんどであるからです。
つまり芯付近が腐っているとオハナシにならないってことですね。
高級住宅として桧丸太の化粧梁が使われるケースが増えましたが、芯持ち材はどうしても表面にヒワレが入るので桧の化粧梁はほぼ背割り(背割れ)を入れてあります。
背割りを入れると芯の部分を抜くために強度が少し落ちてしまいますが、
今は軽量化された屋根瓦やガルバリウム鋼板を使うケースがほとんどなので問題ないでしょう。
埼玉県H様邸に使われている重要文化財や世界遺産などに使われている伝統のいぶし瓦である藤岡瓦。
こういった瓦が旧〇〇家住宅など重要文化財の復原などに使われている昔ながらの屋根瓦です。
どのような瓦かは下記URLをご参照下さい。
だるま窯で焼き上げる伝統のいぶし瓦『藤岡瓦』
http://linklink.a-def.com/contents/1461
http://linklink.a-def.com/contents/1415
いつもいうように木というものは芯持ち材で長期間自然乾燥させると必ず表面に干割れ(ひび割れ)が入ります。
詳しい説明をすると乾燥は空気に触れる外側から始まり、まだ乾いていない内側との間でも収縮の差が出来てしまい、つまり外側と内側の含水率の差が大きいとヒワレにつながります。
丸太でひび割れがほとんどないものは背割りなど、割れを抑えるために工夫や手間をかけています。
ttps://www.auranet.jp/salon/yomimono/%E5%89%B2%E3%82%8C/
このサイトの説明がとても分かり易くて、素晴らしいです。
そういえばW先生がヒワレ対策として芯をくり抜くことは当然で、乾燥方法は水中乾燥が一番良いと仰っていました。
ただし、辺材、白太は使用不可で使うのは心材、総赤身のみの条件です。
水中乾燥のコラムはコチラ。
ttps://shokunin-chan.com/post-02/
城内は下から上まで国産松の丸太梁ばかりで、最高でした!!
記念に城外からも撮っておこう(^▽^)
そして、帰り道に「いろは松」という言葉を発見。
ここに「いろは松」の由来が少し書いてありました。
いろはにほへとちりぬるをわかよたれそ も関係あるのかな?w
帰りにいろは松もいっぱい撮ってきました。
頑張って生きている地松ちゃんたちです。
大曲りで支えまでつけてもらっている松ちゃん。苔が渋いね。
一方地梁で4〜5寸むくりの松ちゃん。
繁々と誇っている松ちゃん。
この子が一本だけ立ち枯れになりかけている松ちゃんに見える。
右側には松ぼっくり生えているから、もちろん全部枯れてないけどね。
伐採したら、立ち枯れにかかっていると予測しておきます。
彦根城周辺に生えている松も含めて、ほとんどが生きている松だ。
造園管理が素晴らしい。
国産松をとても大切にしてくださって、彦根市民の皆様には御礼申し上げます。
これからもいろは松、そして国宝 彦根城を未来永劫、大切にして欲しいです。
長文を読んで下さり、ありがとうございました。