2017年04月22日

天然乾燥材(AD材)VS人工乾燥材(KD材)??

一言で言えば適材適所としか表現できないな。
前の記事でもゆったけど、羽目板やフローリング等の新建材相手と対決せざるをえない箇所はKD材(できれば低温機械乾燥材)の優位性は仕方がないと考えます。
それでもN様やH様のような少々反っても構わないから、絶対に自然乾燥材、天然乾燥材だ!というお客様もいらっしゃいますし、それこそ個人の選択の自由でしょう。

だって天然乾燥と人工乾燥の優位性なんて条件によって全然違うからね。
あくまで僕個人の考えやで、あとはその人それぞれの考え方があるでしょう。
大事なことは何でもかんでも天然乾燥しかダメだ!って偏った考えは客観的な視点で物事を見れなくなります。

弊社だけが天然乾燥材が最強で最高!!と声高に叫ぶよりも建築業界のたくさんの方々の考えをご自身で調べるなり聴いてみて下さい。
天然乾燥材(AD材)と人工乾燥材(機械乾燥材 KD材)の違いをとても分かりやすく解説してくださっているブログをご紹介致しますので、興味のある方は是非ともご一読下さい♪
茨城県の永井昭夫建築設計事務所さんのKD材・AD材・グリーン材とは
https://nagai-sekkei.com/4-f176.html

個人的な意見として、荷がかかってくる構造材やったら天然乾燥材or低温機械乾燥材>>中温機械乾燥材>>>>高温機械乾燥材(内部割れの産廃)と僕は一生死ぬまで思ってますし、別にこの考え方を皆さんに押し付けようとも思いません。
一言解説を付け加えるとしたら、奈良の法隆寺が現在よく使われている中温(60℃〜70℃)機械乾燥(KD)させた国産檜を構造材として使っていたとして、果たして1200年後の強度数値が天然乾燥材と同じ数値もしくはそれ以上のヤング係数を示すとあなたは本気で考えますか??(もちろん天然乾燥材のデメリットの一つである反り狂いはでるでしょう)

ここで怖いことは木を知らない一部の方がJASが認定する含水率20%以下という数字を鵜呑みにしすぎて、含水率計測で測ってこの木の含水率は10%だから、JASが認定する20%より遥かに下の数値を示しているから、この材木は間違いなく良いものです♪♪と本気で誇っている某工務店の社長(息子さん)がいらっしゃって、僕は心底驚きました(汗)

@天然乾燥→低温機械乾燥or中温機械乾燥で最終的に含水率20%以下に下げました。
A高温機械乾燥(100℃〜130℃)で一気に含水率を下げてから、少し外で養生期間を取って含水率を20%以下に下げました。


彼にとっては@とAの過程によって、木、材木にかけている負担、内部割れなどはどうでもよいのです。
しかも、その含水率計測が示す数字だけを喜々としてブログにアップされている。
僕はそのブログを読ませて頂いたときにそこに住む人が可哀想やなと心底思いました。
工務店社長はプレカット加工屋に依頼して、機械で刻んで、手間請けの大工に上棟させるだけです。
実際に木に触れるのは機械乾燥された後の材木の含水率を測る機械で触れただけで、この材木は間違いなく良質乾燥材だと彼自身は全くの悪意無しで施主様に勧めているんですから・・・。

結果的にこの工務店は倒産していました。
あくまで一例ですが適材適所、手刻みが当たり前でなくなった時代とJASが掲げる含水率の明確化によって、このような弊害を生み出すケースがあるということを知っておいてください。(悪意がないからこそ罪深いのです)

最後に一言、高温(100℃〜130℃)機械乾燥の構造材を薦める材木屋は間違いなくカスやから、それだけは断言しとく、僕の考え押し付けとく(笑)
誤 KD=Kiln Dry Wood  正 KD=Kill(殺す)Death(死ぬ)Wood と覚えておきましょう。(ただし、高温機械乾燥材に限る)

オレにとっちゃ、50℃未満の低温機械乾燥材以外は全てkill death woodやけどな。
人間が60℃以上のサウナ室内に2週間〜3週間も閉じ込められたらどうなる?
人間の水分がほとんど飛んでしもて、汗が出なくなって干からびてしまうやん。
その人の顔色が2〜3週間後にええ色艶になってサウナ室から出てくると思います??
それを植物、生き物である木に全く同じことやっとるねんで。
これを言い出すと人間が動物の肉食べるために牛や豚を殺すのはどうやねんって突っ込まれるの分かってゆってるけどな。

材木屋のみんな分かっているんやろ・・・。
KD材(機械乾燥)と含水率にこだわる時点で水分を抜きやすい輸入材にはかなわへんってことを・・・。
無垢材、国産材で勝負していくにはKD材で戦えるのはほんま一部分だけやて。
だって日本国内の四季で育った木は冬伐りでさえも、どれもこれも水分をたっぷり含んでいて、湿気のないヨーロッパで育った木と比べて、水分を抜くのに機械乾燥ですら、時間と調整(伐り旬と乾燥ムラ)に手間暇かかりすぎるねんから、そりゃ集成材は外国産材で製造したほうが効率が良いに決まっとろう・・・。

オレからいわせたら集成材やCLTを国産材で造ろうなんて発想自体が適材適所の日本の伝統木造建築の受け継がれた精神とはかけ離れすぎていて、絶対に間違っていると断言しておく。
為替が円安の期間だけ良い思いするだけで将来的に円高になっても補助金漬けの森林税等の国民の税金で穴埋め補填の未来しか見えへんやんけ。
そんなお先真っ暗な未来よりも伝統構法に命を懸けている方たちに敬意を表して、プレカットとの加工金額差の穴埋めに森林税を是非とも使って欲しいm(__)m
もちろんプレカット構法か伝統構法のどちらかを選択するかは国民の自由だ。
今の世の中、値段、単価、総額しか見ない建築業界、木材業界の次世代を見据えた明るい未来のためにはそれしか選択肢がないと思うのだが官僚たちは自分たちのことしか考えないから無理だろうな・・・。
オレも材木屋の立場やからこそ、今もっともなことを言ってるけど、もし仮に自分が官僚の立場やったとしたら、朱に交わってきっと赤く染まっているやろうから。
posted by 山崎木材(有) at 20:46| Comment(2) | つぶやき
この記事へのコメント
たまたま、目に入って思わず読んでしまいました。全く 同感です。私はだいくをやっておりまして、毎日 木材に触れていますが、現場に入ってくる高温乾燥材には、がっかり させられます。乾燥させることは良いのですが、その過程に問題があると思います。
耐力壁の計算なんかもそうです。とりあえず、数値をクリアしていれば良いだろう、という感覚ですね。御社のような材木屋さんがこちら宮城県にも増えていって欲しいと願いつつ、また、そうした取り組みをしている方々を我々ユーザーが購買によって支援していきたいと思います。
Posted by 橘川康伸 at 2022年05月15日 10:28
>橘川康伸様

とても嬉しいコメントをありがとうございます。
令和の時代はKD材の流通ばかりになり、AD材指定の御見積依頼はほぼなくなりました。
手刻み加工技術の必要性が下がり、大工さん自体も2極化しているとの話を耳にします。
これからの先行きを考えると大工職の若者が激減する未来が待ちかまえています。
そうなると外国人技能実習生が大工職を担う未来が予測できます。
今は生きている木、天然乾燥材に一度も触れた経験がなくても輸入品の集成材と建材だけで新築が完成します。
繊維が死んで、伸縮、木の動きがほとんどない建材化した材木なら、呼吸はしていないし、手刻み加工技術は必要ありません。
残念なことに令和の家造りは一世代だけ保てばいい、産廃の塊のような住宅ばかりです。
高気密にするための高断熱住宅を造ろうとするから、仕方のないことかもしれません。

全国を探しまわっても地松の天然乾燥材はなかなか見つからないかもしれませんが、杉や桧の天然乾燥材なら在庫商売されている業者さんは残っています。
いつの時代になってもその地域の気候や風土で育った木を材木にして、建てた家が一番長持ちする。
年配の大先輩の材木屋さんの御言葉です。
宮城県なら東北で育った木をじっくりと自然乾燥させて、家造りをするのが一番良いと想います。
想いって漢字いいですよね、木と目と心で出来た字です。
今は死んだ木ばかりが流通していますが私の想いはあなたの心に届いたので素直に嬉しいです。

最後にあなたのような大工さんが昔のように手刻み加工で時間をかけて家造りする機会が増えれば、必ず宮城県でも天然乾燥材を扱う材木屋さんが瞬く間に増えますので、ご安心ください。
Posted by 山崎木材(有) at 2022年05月16日 21:12
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